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痛み☆最終章☆

薬物療法では、慢性疼痛患者には、従来の痛み止めの効果があまり期待できなかったり、有効とされている薬でもなかなか効果がでないことがあります。2019年に出版された腰痛ガイドラインにも示されています。数年前、抗うつ薬として保険適応となっていたクスリが慢性疼痛に痛み止めとして使えるようになり、保険適応となりました。ノルアドレナリンやセロトニンを増加させることで「下行性疼痛制御系」を賦活させ、鎮痛作用を発揮させる効果が期待されています。

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by haraseikei | 2019-07-15 20:33 | 痛み

痛み⑩

通常、脳は「下行性疼痛制御系」として、疼痛情報の中枢神経系への入り口(脊椎後角)で「痛み」の伝達を制御して、感度を調整し、多数の感覚情報を排除します。


慢性疼痛では、痛覚過敏になっており「下行性疼痛制御系」が機能しなくなっているとも言えます。


また脳の変化に伴い、「痛み」が意識や情動に割り込むため、意識の優先順位が変わると、日常生活に支障をきたす程の苦痛を生じる可能性があります。

慢性疼痛の患者さんが「毎日痛みのことを考えてしまう」のは割り込みの強さが増加しているためのようです。


慢性疼痛の本態が脳の可塑性変化である以上、「治療のゴール」は痛みを消失させることではなく、気にならないようにすることで、日常生活の意識の最上位に割り込んでいる「痛み」の優先度を下げることにあります。

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by haraseikei | 2019-07-15 18:40 | 痛み

痛み⑨

個体にとって最優先されるのは「生存危機の回避」です。「痛み」は脳内の様々な領域に作用し各機能に優先して、危機を回避しようとします。

これを支える神経系の特性が「可塑性」で、シナプスや神経結合が巧みに変化することで、神経系に「痛みの記憶」が記録されます。

慢性疼痛は単に「長く続く急性疼痛」ではなく、可塑的性変化を伴う独自の病態なのです。


「痛い経験」を繰り返すと、身の危険を避けるように脳の神経回路が可塑的に変化するため、「痛み」は「脳」を変え「脳」は「痛み」を変えるとも言えます。


例えば、「痛み」に対して過敏になることや、偽薬による「プラセボ効果」もこの脳の働きを利用しています。

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by haraseikei | 2019-07-15 18:37 | 痛み

痛み⑧

「痛み」は自分が不利な状況にあることの信号ですから、社会に対する不満など自身の立場を不利に思う程、痛みを強く感じ残りやすい傾向にあり、虐待や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の経験者や自動車事故での外傷では加害者より被害者の方が慢性疼痛は多い傾向になるようです。

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by haraseikei | 2019-07-13 21:09 | 痛み

痛み⑦

「情動」の形成に重要な「偏桃体」は侵害受容によって誘発される「条件恐怖反応」を獲得する中核部位です。


特定の有害性を持たない聴覚や視覚などの感覚刺激(条件刺激)と侵害受容(無条件刺激)を同時に与えると、条件刺激だけで「すくみ行動」や「情動性発声」などの回避行動、心拍出量増大、頻脈や発汗などの自律神経応答、内分泌応答からなる「条件恐怖反応」が獲得され、「脅威の記憶」が形成されたということになります。

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by haraseikei | 2019-07-13 11:25 | 痛み

痛み⑥

「痛み」で活性化した領域は「意識」「情動」「報酬」などの機能に関与する領域が含まれているようです。脳の中で「痛み」と「情動」の関連性についてですが、原始的な「嗅覚」や「味覚」「内臓覚」などは、天敵の認知、毒物の検出などに関与しており「痛覚」と類似した情動回路を活性化します。

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by haraseikei | 2019-07-13 07:45 | 痛み

痛み⑤

近年、機能的MRIを用いての慢性疼痛における誘発痛と自発痛の画像解析が進み、「痛み」のシステムについては、痛みの古典的経路の活性化が弱いこと、侵害受容の入力は極めて広範囲の脳領域を活性化すること、急性疼痛と慢性疼痛は異なる脳領域を活性化すること、慢性疼痛患者での誘発痛は自発痛とは異なる領域を活性化するということがわかってきました。

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by haraseikei | 2019-07-11 07:24 | 痛み

痛み④


「痛みの古典的経路」は、末梢の侵害受容器、末梢神経、脊髄そして、脳という経路を辿ります。しかし、慢性疼痛は侵害受容器の興奮がなくても生じ、脳全体の活動が関わって参ります。

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by haraseikei | 2019-07-10 14:47 | 痛み

痛み③

「痛み」はケガや病気などカラダの異常を伝える警告信号であり、進化の過程で生き延びるために不可欠なメカニズムとして獲得された機能なのですが、医療の現場において「痛み」は解決すべき問題であります。

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by haraseikei | 2019-07-10 08:00 | 痛み

痛み②


一般的にカラダの組織の障害、損傷・炎症などの刺激で起こる急性の痛みは、障害・炎症が治まれば消失しますが、慢性の痛みは、脳内の神経回路の変化により「痛み」の感覚が認識されやすくなっていて傷害・炎症が治まっても消失しません。

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by haraseikei | 2019-07-08 14:20 | 痛み